静岡県内に複数の事務所と工場を持つ製造業様で、長年使われてきたYAMAHA製ルーターを、Fortinet社の次世代ファイアウォール「FortiGate 90G」へ入れ替えました。

同社のネットワークは、東京の営業所、大阪の拠点(メイン・バックアップの2回線)、AWS上の業務システムと、合計5本のIPsec VPNで結ばれています。業務を止めずに移行することが最大の条件でした。

本事例では、拠点側の変更を最小限に抑えながら、UTMによるセキュリティ強化・リモートアクセスVPNの新設・ログの長期保管を一度に実現した取り組みをご紹介します。

導入の背景と課題

これまでのルーターは、通信の中継とパケットフィルタが中心で、ウイルスや不正サイトへの対策は各PCに任されていました。お客様が抱えていた課題は次の4点です。

  • セキュリティ対策が端末任せ:ネットワークの出入口でウイルスや危険なサイトを止める仕組みがない
  • ログが残らない:ルーター内蔵の限られたログしかなく、問題発生時に原因を追えない
  • 社外から社内へ安全につなぐ手段がない:在宅・外出先から社内システムを使えない
  • 止められない構成:拠点間VPN5本とAWSとの経路交換(BGP)が稼働中で、切替時の停止や設定不整合のリスクが大きい

ご提案内容

レムシステムでは、既存のネットワーク構成とVPN設定をそのまま引き継ぎつつ、出入口を1台の次世代ファイアウォールに集約する構成をご提案しました。

項目導入前導入後
機器の役割ルーター+パケットフィルタ次世代ファイアウォール(アンチウイルス・Webフィルタ・IPS)
ログ保管本体内蔵(限定的)FortiGate Cloudで1年間保管
リモートアクセスなしFortiClientによるIPsec VPN(新設)
拠点間VPNIPsec 5本同じ5本を設定移行
AWSとの接続BGPで経路交換同左。リモートVPN利用者の経路も自動で広報
社内LAN・固定IP—変更なし(社内機器の設定変更は不要)

リモートアクセスVPNは、在宅・外出先から本社だけでなく東京・大阪・AWSの各システムにも届くよう設計しました。将来のファームウェア更新で仕様変更が予定されているSSL-VPNではなく、長く安定して使えるIPsec方式を採用しています。

移行を成功させた3つの取り組み

1. 本番と同じ設定での事前検証

弊社の検証環境で、FortiGateの本番設定とYAMAHA製ルーター、AWSのVPNを実際に接続して試験しました。その結果、メーカー間のVPN実装の違いによる接続不良を3点、AWSへの経路広報の抜けを1点、本番前に発見して対策できました。拠点側にお願いする変更も、必要最小限の数行に絞り込めました。

2. 当日は「差し替えるだけ」の切替計画

FortiGateの設定はすべて事前に投入し、切替当日は機器の差し替えだけで済む状態にしました。各拠点の作業順、確認項目、切り戻しの判断基準をタイムラインにまとめ、お客様・各拠点と事前に共有しています。切替は業務への影響が少ない休日の夜間に実施しました。

3. 稼働後も原因まで追いかけるフォロー

稼働後には、異なるメーカーの機器同士で死活監視の方式が合わないことによるVPNの再接続や、リモートVPNから東京拠点への通信が時々途切れる事象が見つかりました。いずれもログを解析して根本原因を特定し、恒久対策を実施しています。

導入効果

項目導入後の状態
出入口の防御ウイルス・危険サイト・不正侵入をネットワークの入口で自動遮断
社外からの業務約30名が在宅・外出先から本社・各拠点・AWSのシステムを利用可能に
ログと証跡1年分の通信・セキュリティログをクラウドで保管し、調査や監査に活用
VPNの安定性稼働後の対策で、VPNの再接続回数が1日約350回から約6回へ減少
管理の安全性管理画面は暗号化通信のみに限定し、悪意あるサーバー等からのアクセスを遮断

まとめ

拠点間VPNやクラウド接続が動いている環境では、「入れ替えたいが、止まるのが怖い」というお声をよくいただきます。今回のように、本番と同じ条件での事前検証と、稼働後のフォローまでを一貫して行うことで、リスクを抑えて次世代ファイアウォールへ移行できます。

ご相談・お見積り(無料)

ルーターの更新時期に合わせたUTM化、拠点間VPNの見直し、リモートアクセス環境の整備など、お気軽にご相談ください。現在のネットワーク構成図や機器の一覧があれば、より具体的なご提案が可能です。

全国対応/お見積り無料。遠隔ヒアリング・現地対応の両方に対応しています。